(アマは相当人恋しいに違いない。誰でもいいから話しを聞いてもらいたがってる)

前野は高嶺の花から頼りにされて、この上ない幸福を感じた。
芸能人と一般人の垣根は意外と低いものだなと実感する。
出会う機会さえあれば、友達になるのはたやすいことなのかもしれない。

携帯泥棒という稼業によって掴んだ運だけに、後ろめたい気もするが……。

前野はビデオの電源を入れて、テープを巻き戻した。
一昨日アマが出演していた番組を再生する。

夜8時から一時間放送していたバラエティー番組だ。間に約5分のワンコーナーが設けられていて、アマが単独出演している。
ここでアマは歌を歌ったり、大御所タレントの楽屋を訪問レポしたりと、様々な実験企画に挑戦する。
相方のマチはしゃべりの才能はあるが、ゴールデンの時間帯だとお茶の間に対して見栄えが悪いという理由でオファーが来なかったと週刊誌記事に書かれていたのを思い出した。