ダイニングでマチの張った声が、耳になだれこんできた。

前野は朦朧としながらも立ち上がった。
本能のみで体が動き出す。

「ギャ~~~!!!」

ニューハーフのような雄叫びが閑静な住宅街を震わせた。

マチがドアを開けた時、前野は部屋についていた出窓から飛び出した。
地面に足が着くや、真横のダイニングのベランダへダッシュして靴を引っ掛ける。
加速をつけたままブロック塀に突進した。
てっぺんの角でスネを思いっきり打ったが、痛みの神経はシャットダウンしている。
隣接している民家の庭に着地。
頭の整理がつかないまま、やみくもに走った。