アマの家は住宅密集地の内部にあった。
袋小路沿いにあるアパートで、周囲は一戸建てに囲まれている。
庭付きが多く、手入れされた緑があちこちに見えた。

門を抜けて敷地に入る。
玄関ドアが奥まで並んでいた。
ニ階建てアパートの外観は、ペンキ塗り立てらしく真っ白だった。
だが、黒く錆びた鉄階段、ひび割れた木製のドアから築年数が経っていることが分かる。

アマの部屋は一階の角部屋だ。
前野は一番奥へ進んだ。
首までの高さのブロック塀に突き当たる。左に曲がり、アパートと塀の間を歩いた。

一人がやっと通れるぐらいの砂利道で、くるぶしまでの丈の草がまだらに生えていた。
裏にまわると、ベランダとエアコンの室外機が並んでいた。
ベランダから3メートル程離れたブロック塀の向こうはすぐ民家だ。

アマが言った通り、角部屋の窓が少し開いていた。
隙間からカーテンがひらひら動いているのが見える。

前野はベランダまで行き、そっと窓を開けた。
靴を脱いでダイニングにあがる。
フローリングの床がひんやりしていたが、テーブルの側で電気ストーブが回転していたので気温は低く感じなかった。

自然と忍び足になってしまう。
不法侵入者の気分だ。