表社会に冷めて裏社会で臆せず大金を稼ぐ涼に、どこか心の角で憧れていた。
その上前野は好奇心旺盛で、酒を飲みながら涼の業界裏話を聞くのが好きだった。
「小遣い稼ぎしてみないか?」
バーのカウンターで涼が口火を切ったのは、ちょうど一年前。
「時給千円以上だったら、考えても良いぞ」
一杯850円の焼酎をちびちび飲んでいた前野が答えた。
「フッ、俺がそんなちゃちなバイトを紹介するわけないだろ。
……俺等の仕事で、一般人に借金をさせてその利率を掠め取るというのがある。あと、不要な金を金持ちに投資させるというのもある。他にも詐欺まがいの事など、業務は多種多様だ。とにかく、人が無駄金をはたくように欺かなければならない。人を欺くには何が必要か分かるか?」