今日、アマは休みだがマチにはロケの仕事があった。
(無事に成功するかしら?)
マチは緊張していた。
目で感知できる程心臓が脈打つ。
喉がカラカラだ。
ベッドを降りて自分の部屋を出た。
廊下を歩いてダイニングへ行く。
薄暗い室内にちらつく光があった。
「あんた、何してるの?」
台所込みの六畳フローリングの中央に、四人掛けのテーブルがある。
その一部を占領しているデスクトップパソコンの電源が点いていた。
画面はスクリーンセーバーになっていて、シャボン玉がふわふわ漂っている。
「パソコンいじっちゃだめよ、チャトン」
パソコンの正面に猫が座っていた。アマとマチが二人で飼っている、茶色毛がフサフサした猫だ。
最近、アマチは番組のレギュラーが増えて激務だった。
ロクに猫の面倒をみることができないので、マネージャーの家族に預けていた。
今日はアマの休みがとれたから、一日限定で猫を返してもらったのだった。
キーボードに抜け毛が落ちている。
どうやら、はしゃいでテーブルに飛び乗った時に電源のボタンを押したらしい。
猫は、左右に首を振って画面のシャボン玉を追っていた。