実は、私はタレントをしています。だから人目を避けたいんですよ』
前野は文章を疑った。
アマがたやすく職業を明かしたことに意外性を感じた。同時に本人と直に会えることに嬉々とした。
興奮を鎮めて、冷静な返信文を作成しようと心がける。
『タレントさんですか? ちょっと驚きました。仕事が忙しいということは、有名な方なんですね。僕も知っているかも。
そういうことなら、時間も場所もあなたに任せますので、指定して下さい』
(なぜ、本人がわざわざ来るのだろう? 携帯を落としたことが事務所にばれたら怒られるからか? でも、所詮は受け渡しだけだろうな。渡す時に飯に誘ってみようか……まず、無理だな。人目のつく所に俺と行くなんてもっての外だろう。でも友達、いやメル友ぐらいにはなりたい……)
様々な思慮が頭を駆け巡る。
相手からメールが到着した。
『ご親切にありがとうございます。時間は13時頃がいいですね。場所は目白駅付近が良いのですが、後で詳細を連絡しますね。勿論、タクシー代をお渡しします。
「アマチ」っていう女性二人組みのユニットご存知ですか? 私、アマなんです』