前野に鳥肌が立つ。
アマが職業だけでなくタレント名までもさらすとは思いもしなかった。


『では、午後1時前に目白駅に着くようにしておきます。
本当に、あの有名なアマさんですか? 驚きました。先程、アチトークを観ていたんですよ! 実はアマさんの大ファンなんです。学校でもアマさんファンは多いです。
今、トップアイドルとメールをしているなんて、夢のようです』


(アマだと分かっていた癖に、よくもまあこんな白々しい文章が書けるものだ)

前野は少し気後れした。
しかし、後半の文章は本心がストレートに出てしまう。


『とても光栄です。私の方こそファンの方と直接コミュニケーションが取れて嬉しく思います。
宜しければ、あなたの自己紹介をしてもらえませんか?』


(相手から質問をされればしめたものだ。もう嘘をつく必要はないな)


前野とアマのメールのやり取りがスムーズに進み始めた。


『僕の名前は前野利樹といいます。二十一歳の大学生。もうすぐ卒業なんですけど、まだ就職先は決まっていません。
来年、公務員試験を受けようと思っています』


『そうですか、試験勉強がんばって下さい。来年合格できるといいですね。
私は高校を卒業してすぐにタレントを目指したので、大学生が羨ましいです。キャンパスライフっていうんですか? とても憧れます』